三陸 ‐ 常磐エリアの逸品をお届けします

太平洋に面し、長さ300㎞に及ぶ美しい日本の東海岸。

2011年、未曽有の大震災がこの地域を襲いました。高さ40mにもなる津波が容赦なく押し寄せ、様々なものが破壊されてしまいました。

それから11年経った2022年、復興し、人々の情熱と伝統で再び賑わうようになった三陸‐常磐エリアを訪ねる旅にJETROが私を招待してくれました。私はそこで、すべてを失ってもなお、力強く一から立ち上がった企業を訪問しました。どの企業も新しく清潔で、社長さんたちはエネルギーに満ち溢れ、そこで作られる製品には人々の情熱と努力の結晶、そして素晴らしい伝統が息づいています。

このような製品を生み出す日本という国を私はこよなく愛しています。

マリナス・ノーデンボス

イワシ

2022年の春、久しぶりの日本での休暇中に、私は義理の家族と一緒に銚子へ行きましたちょうど、オランダの友人が銚子の実家に帰省していて、魚市場に連れて行ってくれました。 

ちょうど水揚げされたイワシがトラックに載せられているところで、たくさんのイワシを載せたトラックが次々に目的地に向かって走り出していました。トラックはイワシでいっぱいで、時折、うまく載り切らなかったイワシが路上に落ちていました。 

拾ってみて、そのイワシの品質の良さに驚きました。銚子のイワシをオランダの私たちの会社で仕入れるための第一歩はその瞬間に始まったように思います。 

北海水産では、脂のよくのったこのイワシを使った商品を3点ご用意しています。 

イワシ丸干し、イワシみりん干し、イワシフライ 

お好みでイワシを調理したいお客様のために、そのままの丸ごとのイワシも販売しております。 

銚子のイワシを仕入れるため、いろいろな人に話をしていましたが、ジェトロの協力で、旬のイワシをヨーロッパに送ってくれるトウスイさんとの出会いがありました。 

私は、去年の夏、トウスイさんを訪問しました。ちょうど工場で加工が始まった時で、たくさんのイワシが作業台に乗っていたので、一尾手に取って開き、食べてみました。トウスイの方をちょっと驚かせてしまいましたが、脂ののりの良さがよくわかりました。 

私は魚に関わる仕事をずっと続けてきましたが仕事を通して学んだことがあります。それは、魚のおいしさは脂で決まるということ。それは、銚子のイワシも例外ではない。つまり、脂ののりのいいこのイワシは間違いなくおいしいということです。 

トウスイさんへの訪問から数か月後、弊社のあるエイムイデンに銚子のイワシ3000㎏が到着したと電話がありました。初めて銚子のイワシを手に持ってから9か月後のことでした。 

カツオ

カツオ(節)は、いろいろな和食に使われています。まさに「泳ぐ出汁のかたまり」ですね。 

また、お好みでおひたし、冷ややっこなど、料理の上にのせれば、料理がさらにおいしくなります。 

私は、仙台に近い塩竃にある明豊さんと言うカツオのたたきを扱う会社にお邪魔し、カツオには、出汁としての役割だけではなく、もっとたくさんのバリエーションがあることを知りました。 

カツオはマグロと同様、変色を防ぐために常に極度の低温で冷凍されます明豊さんでもマイナス60度の冷凍庫をカツオの保存のために使用していました。  

カツオは一本釣りで漁獲されます。「何でも食いつくので、針に餌をつける必要もないんですよ」と、明豊の社長さんが、マイナス60度の冷凍庫の中で教えてくれました。 

カツオの漁では、船上で何人もの漁師さんが釣りざおを持って待機しており、カツオの群れの上を航行すると、力強く魚を引っ掛けては、自分の頭上から後ろの船倉にどんどん振り下ろしていく。魚はすぐにそのまま丸ごと冷凍され、マイナス60度で保管されます 

工場での加工は解凍せずに行われます。まず大きなバンドソーを使って切り身にされます。そして、特殊な装置で、凍ったまま腸をブラッシングします。この後、まだ硬く凍っている切り身を、ガスで魚を焼く機械に入れ、外側を焼きます。この工程を「たたき」と言います。この状態の時、中は生のままで、実はまだ凍っているのです 

解凍したカツオのたたきを薄くスライスすると、外側の焦げ目と内側の美しい赤い生の部分が、味と見た目の両方で素晴らしいコントラストを見せます。醤油(ぜひ北海木桶醤油をお使いください)とすりおろしたショウガで食べると、とても美味しいですよ。 

めかぶ

2011年の東日本大震災、宮城県気仙沼市は津波で大きな被害を受けました。この町は、日本の中でも大津波が猛威を振るった地域に位置しています。ネットには、気仙沼に押し寄せる津波の様子を撮影した動画が多数アップされています。そのひとつは、車が走り、人々が少し緊張した面持ちで行ったり来たりしているところから始まります。その背景には、街中のスピーカーから「安全な場所に避難してください」という声が聞こえてきます。すぐに第一波が来ますが、まだあまり深刻そうではない。1分後、巨大な土石流に飲み込まれた最初の車が、ほどなくして建物が、流されていきます。 10年以上経った今でも、このような映像を見ると、信じられない思いがします 

この地域では、この津波の被害を乗り越えた皆さんの誰もが心を動かされるストーリーを持っているのです。八葉水産の社長さんの温かみのある笑顔の裏にも、一つの物語がありました。 

八葉水産は、この大地震による津波で、長年築き上げてきたものをすべて失いました。津波は、工場内の高さ7メートルまで浸水し、工場の中のものすべてを破壊したり、海へと持ち帰っていきました。在庫も、機械も、工場の建物そのものも、すべてが壊れたり、使えなくなったりしました。そんな恐ろしい災害を乗り越え、私たちは今、とても美しいものを生み出しています」 

八葉水産を訪問した際、社長さんがそう話していました。 

「ここは小さな漁村で、普段はみんなが競争してビジネスをしていたのに、この街の復興にはそれまでライバルのような存在だった会社同士も力を合わせて取り組みました。私たちの中にある種の一体感が生まれたのです。互いが互いを必要としていました。みんなが助け合いながら、津波の後の片づけをし、生産が再開できるよう再構築をはじめました」 

原材料は各社に公平に分配され、全員が復興に取り組めるようになったと言います。 

八葉水産は日本国内向けに「めかぶ」を製造しています。めかぶは大変健康にいいと言われています。日本の方にはおなじみでしょうが、オランダではあまりなじみがありません。でも、やみつきになりそうな深い海の味がして、私はこの商品をぜひオランダの人たちに紹介したいと思いました。 

気仙沼の中を歩いてみて、八葉水産の社長さんが話していた言葉の意味がわかりました。このあたりは、本当に何もかもがゼロから再建されているのです。どの建物も、どの道も、すべてが新しくされていましたそして、建物の周りには高い塀が作られていました。通常このような塀を見ると、周りとの隔たり、孤立を感じるものですが、この塀にはこの町が一つとなって津波を防ぐための力強い一体感を感じました 

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